気遣いの一つに、相手のメンツを立てる、相手に恥をかかせないということがあります。
具体的にはどのようなことかというと、相手の間違いやミスを指摘せずに気付かなかった振りをするということが時として心遣いになるということを知っておくべきです。
世の中には「正しいことは正しい」「間違っていることは間違いを指摘する」ことが正しいと言われています。
ですが、バカ正直にこのとおりに行動している人は何故だか煙たがられる傾向にあります。
それはなぜでしょうか? それは間違いを指摘することで相手のメンツをまるつぶしにしてしまうからです。
メンツを潰されたほうからすれば、あなたは煙たい存在になり、嫌われてしまうのです。
正しいことをしたのに、とあなたは憤慨するかもしれませんが、人間は感情の生き物。正しいことを指摘されたのに喜ばない人が居るということは知っておくべきです。
知らない振りをする気遣いができる人は人望が集まる
有名なエピソードがあります。宮廷の晩餐会で招待された外国人貴族がフィンガーボールの水をのんでしまいました。
フィンガーボールは、指を洗うためのボールです。その瞬間テーブルについた空気が凍りついたと言われています。
その時、咄嗟に晩餐会を主催した婦人が、同じようにフィンガーボールの水を飲み、ました。
その姿に習って他の貴族たちもフィンガーボールで水をのんで外国人貴族に恥をかかさなかったそうです。
この有名エピソードで、もしも誰かが外国人貴族に対して「あなた、それは指を洗うためのボウルですよ」と指摘していたら、この貴族の面目は丸つぶれになっていたことでしょう。
このように相手に恥をかかせない、メンツを潰さないために、あえて相手のミスを指摘せずに知らない振りをするというのはとても思いやりのある心なのです。
例えばこのエピソードになぞらえて、貴方がいつも相手のミスを指摘して正しているとしましょう。
上司が漢字を間違えて読んでいる。上司が間違えた言葉遣いをしている。
こんな時に「それは○○と読みます」だとか「それは△△です」と大勢の前で指摘したとしましょう。
この場合上司は間違いを指摘してもらい、喜ぶでしょうか?
貴方に感謝するでしょうか?
答えはNOです。
こんなことも知らないのかと大勢の前で馬鹿にされたと相手は受け取るのです。
そしてそんな貴方に感謝をするどころか、イヤミなやつだと嫌われてしまうのです。
人望を集める人間は、相手のメンツや体面を慮った行動をとることができる人です。
時として正しいことを指摘しても、人から嫌われる、うと回れるということもあるのです。